「静寂の中で北欧を旅する贅沢 〜佐川美術館『北欧の神秘』展訪問記〜」

守山市の「佐川美術館」で開催されている「北欧の神秘」展に出掛けた。
朝一番なら来館者が少なくて、ゆっくり鑑賞出来るのではないかと開館時間の9時30分に予約した。案の定、誰もいない絵の前で解説パネルをゆっくり読むことが出来た。

作品については詳しいレポートが書かれているページをご覧ください。⇒知られざる北欧絵画の輝きにふれる本邦初の展覧会 『北欧の神秘』レポート

第1室の絵画はおよそ200年前の作品であった。風景画のどの作品も空には力が入っているように見受けた。
絵画に合わせて選ばれた額縁は、ピタリと似合って、絵画の魅力をより引き立てている。 普段、大規模な展覧会の会場では人の多さに急かされて額縁にまで目を向ける余裕はなかったけれど、今回はムンクであろうと独り占めで贅沢な鑑賞ができた。
「額縁は、ただ絵画を保護するだけではなくて、壁面と絵画を明確に区別する境界となることで、絵画が表現する世界をその場所に閉じ込め、鑑賞者が没頭できる非日常空間を作り上げることも担っている。」そうである。

佐川美術館には久しぶりの訪問だ。
この場所に立つと水庭を望む平屋の美術館の風景は、どこか別世界の趣がある。
この美術館が大津市ではなく守山市であることが大津市民としては羨ましい。

美術館の帰り道、北欧絵画の灰色の空と穏やかな時間の記憶を思い出しながら水庭を振り返った。
入館者の少ない時間帯であっただけに、贅沢なひと時が一層贅沢に思えた。
追い立てられる日常からひと時逃避して、いい時間を過ごした。

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