93歳のUさんから学ぶ生きる力

近所には90歳を越えて一人暮らしをしている女性が3人いらっしゃる。
その中のお一人、Uさんと最近お話しする機会があった。
庭仕事をしていると、Uさんが日傘をさしてショッピングバッグを引きながら声をかけてきたのだ。

「お元気でしたか?最近姿を見かけないから心配してましたよ」とUさんが言った。それを聞いて、私は逆じゃないかと思いつつも、「お元気そうですね。びっくりしました」と返すと、Uさんは「いえいえ、もうあちらこちらが痛くてねえ」とニコニコ笑いながら答えてくれた。

「ところでお幾つでしたっけ?」と尋ねると、「93歳よ。昭和6年、1931年です」と矍鑠とした声で返された。
私が驚いて目を白黒させると、Uさんは「頭を使うようにしているの、ボケたら困りますから」と笑った。
彼女の綺麗なシルバーの髪はおかっぱに整えられ、目は生き生きと輝いていた。

「歩かなきゃだめですよ」とUさんは言い、週に数回は近くのスーパーまで往復2000歩歩いて行くそうだ。
行きは下り坂で、帰りは長い上り坂。ショッピングカートを引くだけでも疲れる道を、ゆっくり歩いて一石二鳥を狙っているとか。

約20年前にご主人を亡くされてから一人暮らしをされているUさん。「主人は厳しかったから、一人は楽ですよ」と笑いながら語り、ますます若返っているようだ。

Uさんの話は全て前向きで、話していると私がパワーをもらえるような気がする。
私自身、最近はあの世行きの準備を始めていたというのに。
Uさんはそんな私にとって眩しい存在だ。
これからも彼女のように前向きに生きていきたいと強く感じた。

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