大鹿村右馬允の松茸づくし ‐ 至福のひと時|旅舎 右馬允

旅舎 右馬允の屋根を真っ赤なもみじが被いつくしている写真を見たのは、多分20年くらい前だったろう。
目に焼き付く赤いもみじと「松茸の宿」それだけでものすごく贅沢なイメージが頭の中に出来上がった。
場所は中央高速の飯田当たりの山の中、大鹿村だと言われても地図が浮かばないまま忘れていたけれど、松茸の頃になると赤いもみじと松茸が浮かんでくる。


伊那谷には「日本で最も美しい村」連合に属する村が散在しているので今年は何度か出かけた。
下栗の里に行って中央構造線博物館が大鹿村にあることが分かると「右馬允」をまた思い出した。
経路を見ると意外に近い、南アルプスの懐で育った松茸はさぞかし美味だろうと想像すると、今年は絶対に行くと決めてしまった。
9月末が松茸のピークであるらしい。
幸いその頃は駒ケ岳の山頂も紅葉している頃なので、すぐに旅程は決まった。
一日二組のお宿なので無理だろうと思いながら電話を入れると、すんなりと予約が出来た。
20年思い焦がれた右馬允の松茸だ。


それは、それは素晴らしい料理だった。
松茸コースと言えば必ず出てくる、土瓶蒸しや松茸ご飯は出てこない。
それは、松茸がピークを過ぎてふんだんに使えなくなった時にお出しすると右馬允さんはおっしゃる。
余りにも品数が多いのでまとめた写真にしてしまいましたけれど、本当は一つ一つをご紹介したくてうずうずしている。


土瓶蒸しの代わりに出されたのは松茸の「一本蒸し」アルミ箔に包まれてお出しと一緒に供される。


もうお腹が一杯と言う頃にすき焼きが出てきた。
その松茸を見てびっくりした。てんこ盛りなのだ。ごぼうと、ネギ、菊菜、葛と松茸、牛肉は信州の特選肉
出汁の中で薄切りのごぼうを軽く煮てからすき焼きが始まった。
私を驚かせた松茸を、山に取りに行ったと言う息子さんが丁寧に作ってくれた。
もう入らないと言いながら綺麗に平らげてしまった。


朝食も手の込んだ美味しいものづくし。トマト入りの熱々の出汁巻はご主人の得意料理とか。
トマトの苦手な家人は黙って食べていた。


そして、何より美味しかったのは、松茸を薄切りにしてカツオ節の薄切りと共に熱いご飯の中に埋めて食べると言う方法。
ご主人が高校生の頃松茸山の友人のお弁当がそれで、美味しそうだったので再現されたそうだ。
それに、ぐつぐつと焙られる棒葉味噌、玉子かけごはん、禁断の二杯目のご飯を食べてしまった。


食後のコーヒーに添えられたチョコは息子さんが山椒を練り込んで作られたとか。
チョコと山椒の組み合わせは新鮮だった。


器の事も触れないわけにはいかないだろう。
右馬允は江戸時代に馬に関する取りまとめをする名主の家柄で、庭に点在する蔵の中には当時の器がびっしりと詰まっていた。
その器が丁寧に金継されて使われている。
器好きには堪らないだろう。
建物は古いけれど、磨き込まれた廊下はピカピカで、広い座敷はゆったりと手足を伸ばして深呼吸したくなる。


そして、目に焼き付いていたもみじは今は青もみじ。
ご主人も写真の事をよく覚えておられて、松茸と紅葉の時期はふた月以上違うので、京都からカメラマンが二回通って撮影されたものだったと話してくれた。
20年間、浮かんでくる紅葉と松茸への思いがかなえられた日になった。

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