能登の旅|漆作家 ‐ 角 好司|作家魂に触れる時間

5月の企画展が終わるや否や輪島に向かったのは、
NHKの朝ドラ「まれ」の影響では決してありません。

輪島に住む「角 好司さん」に、塗り直しをお願いしていたお椀を頂きに行くと言う約束が、
あったからに他ならない。
4月ごろに終わりますと伝えられていたので、そろそろと思い「能登に行きます」と電話を入れると「未だ、上塗の段階で、完成出来ていません」とのこと。けれど、既にホテルは予約済み。
お兄さんの「角 偉三郎さん」のお椀もお預けしていたので、それを頂きに行くという約束があったので「お寄りください」の言葉を素直に受けてお宅に伺った。

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椀の縁が欠けているのが気になり始めると矢も楯もたまらず、
お電話でお願いしたのは今年の初めの頃だった。

まず上塗りを全部はがして、布を巻きその後30回位の上塗りをするとお聞きしている。
写真は上塗りを始める前の状態。
たまたま、朝ドラで輪島塗とケーキのミルフィーユについての会話を聞いた。
何層にも重ね塗りをしてもしなくても、分からないです。
ミルフィーユも重ねても重ねなくても分からないもん。と言うような会話を角さんにしてみた。
意外な事に、角さんは「私にも見分けられませんねえ」と言う返事をされた。
角さんのお椀は30回の上塗りをする。

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長い板切れに、上の写真の棒を差し込み椀を固定する。
棒の端を持って、塗ってはひっくり返して塗るという作業を5分おきに30回繰り返すのだそうだ。
輪島ではこのひっくり返す作業は機械化されているけれど、
角さんは機械を入れずに手作業でされているそうだ。
私が来るまでに仕上げようと思えば出来たけれど、急いでやり上げた仕事はその後に影響が出るのでしませんでしたとおっしゃった。今後、20年使ってもびくともしない漆塗りに仕上げて下さる、角さんの作家魂に触れる時間は楽しかった。

床の間には蒔絵の箱が置かれ、渋い赤に四角い箔がはめられている額がかかっていた。
角さんは元々は蒔絵の作家さんだそうで、渋い蒔絵がとても素敵だった。
現在美術の方が好きだからと床の間の額は近年に作られたそうだ。
最近の蒔絵の派手な色使いが気になるところだったので、渋く落ち着いた角さんの蒔絵に強く魅かれたけれど、多分手は届かないだろうから欲しくなるような事のないように心して拝見した。

大きな椀に「能登の風景を描きました」と見せて下さった。
「ここは千枚田ですね」と言うと
「田と海がこれほど近い風景は他にはないんですよ」とおっしゃった。

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実際の千枚田に来ると角さんの言葉の通りの風景があった。
「塩田は沢山出来ましたが、トンネルを抜けて珠洲に入った所がいいですよ」
漆の巨匠に観光案内をさせてしまった。

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これはドラマ用のセットではありません。本当の仕事中です。
20年ほど前にここに来た事がある。
塩田の重労働にびっくりした事を昨日のように思い出した。
ここの記憶がバリ島にいっても、町中で買える塩をわざわざ塩田まで買いに出かける
きっかけになっている。

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