歌集 四十雀日記 ‐ 柏崎 驍二 |銃口 ‐ 三浦 綾子

博多 警固公園

庭の木はすべて落葉し、午後になると1階の居間は日がかげる。
こんな午後は歌集「四十雀日記」を読み返す。

人住まぬ南三陸のわが家は木蓮の花の高く咲くとぞ

私はこの家の様子を見て来たかのように想像出来る。
歌人柏崎 驍二氏は私の旧友の兄上になる。
妹にあたるSさんは岩手県出身の方でご家族の話をいつもしていた。

故郷の家が何故人住まぬ家になっているのか分かるだけに胸にしみ込む。
母の部屋にわが挿しおきし薮柑子くれないの実のけふ落ち尽くす

こういう歌を詠める才能がうらやましい。
制限された字数で人の魂をつかむ人はそれなりの人生が後ろに持っている。

兄上の話を聞いた時にS さんは三浦綾子著の「銃口」の本を出して来た。
彼女の父上が銃口の主人公と同じ思いをし、その時に兄上がお腹にいたから少し変わり者よ。と彼女はいったが私は何と返事をしたのか覚えていない。ただその本のタイトルと、三浦氏の書く人物は良い人過ぎて読むと私が悪人に見えて自分が嫌になるというと「私もそうよ」と、彼女が言ったのでその重そうなテーマの本を読んだ。
なるほど、彼女や兄上に流れる暖かいまなざしの訳がわかった。

銃口は大平洋戦争の数年まえ「北海道綴方教育連盟事件」を期に治安維持法違反容疑で弾圧された教師の話が背骨になっている。
ブログで自由な発信をしている私達の前には自由に物をいえない時代、書く事も出来ない時代があった。
身体にしみ込む歌集を広げて自由な日々に感謝しつつ、さくさくと歌が出て来るはずはなし人のまねする師走のはじめ

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