地下鉄に乗って ‐ 浅田次郎|堤 真一, 岡本 綾 監督:篠原 哲雄|壬生義士伝

きのこの灯り(鉄製 家人作)

遅い時間のシネマは土曜日とはいえガラガラで拍子抜けをした。
「地下鉄に乗って」は本を読んだ時から感動していたが映画にまでなるとは思ってもいなかった。
なにしろ浅田の本は「鉄道員(ぽっぽや)」ですっかり騙されている。
あの世とこの世を行ったりきたりすれば小説の組み立てはいともたやすいではないかといささか白けていた。

ところが「壬生義士伝」を読んでからは関を切ったように彼の世界に浸っている。もうどっぷり。
目に入る端から読み続けている。あの世もこの世も心はおなじである。
いつも熱いもので胸が満たされ気持ちが浄化される。

「地下鉄に乗って」は戦後の闇市で成り上がり、世間で黒幕と言われる存在になった父親とその父を疎ましく思う息子の葛藤を描いている。
父と縁を切った息子が地下鉄に乗ることで過去へスリップしていく。
時代はどんどん過去へ進み息子の知らない出征時の父の姿、戦後の混乱期を生き抜く姿に触れた息子は素直に父を認めていく。
「一人で大きくなったように思っている」と親がよくこぼす言葉であるがこの映画を観ると、とても素直に親や家族を思うことが出来る。
ぎすぎすした今、ぜひご鑑賞下さい。

映画版(YouTube)のDVDです

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コメント

    • tanaka/kurashi
    • 2006年 10月 30日

    実は僕も浅田さんの本が、好きなんです!
    もちろん、「地下鉄に乗って」の映画も観て来ました。
    エンディングの「あ~の~頃は~♪」が、当分の間、頭から離れませんでした(笑)

    • skog
    • 2006年 10月 30日

    tanakaさん コメントをありがとうございました。
    浅田ファンでしたか~。
    エンディング良かったですねえ。
    久しぶりに目頭に水溜りを作りました。
    浅田ファンが造る家なら間違いないですね。
    業務連絡
    昨日は大工の武田さんがご家族で見えました。
    そういう事が私は好きなのですよ。
    家は建てれば終わりではなく住み続けて縁が続きますね。

    • じゅん
    • 2006年 11月 02日

    私は今浅田の「プリズンホテル」を読んでる途中です。
    友人に薦められて読み始め、なんとなく浅田マジックに引きずり込まれているようです。任侠モノなのがどうもうけつけないのですが、読み薦めるとだまされたような気分になっています。

    • skog
    • 2006年 11月 02日

    じゅんさん こんにちわ
    私もプリズンホテルは??と思いましたよ~。
    でも面白さにつられて全巻読みました。
    今は「中原の虹」を読んでいます。
    狐につままれたようですね。
    ただ、歴史物は何処までがフィクションなのか分からなくなります。
    要 注意です。
    でも,止められませんね。

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