卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし ‐ 宇江佐 真理

今年の夏は随分文庫本を買い込みました。
アマゾンに申し込むと翌日には届くという便利さが、書店周りの楽しみを奪っています。
「八丁堀食物草子・江戸前もてなし」宇江佐真理著は表題の面白さで読んでみました。
八丁堀といえば、奉行所の与力同心の組屋敷が並ぶ所。
そこで食される「卵のふわふわ」とは?と手にしたものだけれど、料理本ではなかった。
著者の宇佐江さんは同世代の方なので、八丁堀をどう料理するのか楽しみに読み進めました。
登場人物は少なく、同心椙田忠右門と椙田家の嫁ののぶちゃんを中心の話である。

忠右門の家では息子と嫁の間がギクシャクとしている。
この時代の登場人物は簡単に三行半を書くわけでも無さそう。
周りがあれやこれやと気を使い、椙田家は舅、姑の出来がめっぽう良い。
嫁の「のぶちゃん」は姿かたちが見えるように描かれて、そのうち卵のふわふわの意味が分ってくる。
そうなると、この本も終わりの数ページである。
藤岡周平や司馬遼太郎、山本一力の時代小説とはひと味違う女性の目でかかれた時代小説は卵のふわふわのように心に沁みてくる本でした。

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