姫椿 ‐ 浅田 次郎

この本も自分の本箱から出てきました。
短編9本で構成されていて、初めのページは記憶にあるのですが、他は全く記憶にございません。
本も綺麗なので多分何かと並行読書をしていて、この本の事を忘れてしまったのでしょう。
この人の本を読み始めると、ハアーーそんな考え方もあるんだあーと知らされるほどの優しさが全身を取り巻いて、私が悪人に見えてしまって、少し抵抗があるんです。
初めて読んだ鉄道員の奇想天外なストーリに驚かされたけれど、浅田の本はあり得ない事がごく自然にあるように書かれています。
少し突っ込んでウソだあーと言ったところで、これは小説ですから。
壬生義士伝」でこの人にのめり込み、書店で見つければすぐに買い、本箱に納めて忘れてしまう。
読む者がなくなった時に、おあつらえ向きに出てくる浅田の本だけれど、どれも良く出来た不思議な話がオムニバスのように表れます。

さて、表題の「姫椿」
資金繰りに行き詰った不動産業の社長が生命保険を家族に残すために死に場所を探すところから始まるお話。
気がつけば、かつて自分が住んでいたところも地上げをしてしまったのではないかと探しに行くと、そこになつかしい風呂やが残っていて、そこの坪庭には山茶花の生垣がある。
どうみても山茶花だけれど風呂屋の名前は姫椿。
風呂屋のおやじさんはこれは山茶花なんぞじゃない姫椿だと言い張るらしい。
若かりし頃フーちゃん(奥さん)はいつものベンチに腰をおろして恋人を待っていた。
湯ざめをさせたお詫びに1輪の姫椿を濡れた髪の耳元に飾ってやった。
主人公はこの後、奥さんの待つ自宅に向かったはずである。
この人の作品は最後でホッとさせてくれる。
眠りにつく前の本には最適である。

きなこ、サマーカットにしました。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

skogBLOG内の記事検索

カテゴリー

過去の記事

書評・レビューの情報収集

ブログランキングで書評・レビュー関連の情報を収集できます!
ページ上部へ戻る