日本国債 ‐ 幸田真音|再度読み返す

幸田真音著 日本国債を連休中に読み返した。
果てしなく発行する日本国債に債権トレーダーたちの苦悩と反撃とそれを利用する権力の中枢の思惑が絡み合う。
1998年に書き始め、単行本を刊行したのは2000年。

今から10年も前に書かれた本であるが、あたかも2010年を予想したかのような内容に2度目を忘れて読み進んでしまった。
幸田さんはあとがきに「金融市場というのは社会を写す鏡である。
たとえば、与党が選挙を前に国民からの支持率を気にするあまり、過去のように又、バラマキ政治に舵を切るような動きを見せた時は、ただちに国債が売れれ、価格が急落して注意を促すのだ。
つまり、市場は財政規律を守らない政府に対して、市場の暴落という形で警鐘を鳴らす存在なのである。(2006年12月13日)と書かれている。
鳩山政権が生まれて、日本の新しい国つくりが始まると思ったのは、最早夢にすぎなかったと認めるしかない状況である。
参議院選を前に、迷走、ダッチロール、支離滅裂を繰り返し、野党は急には与党になれない事を悟らされている。
来月からの高速料金はどう決まったのかも、児童手当は満額だと宣言しているけれど、それらがすべて国債頼みとしても国民は喜ぶのだろうか。
今年生まれた赤ちゃんが10才になった頃償還する国債、成人式の頃に償還する国債、まだまだ借金は続いている。
結局は自分の首を締めながら、目の前の痛みを忘れようとしているだけではないだろうか。
死ぬまで国債の利息、償還金を払い続け、それは政府予算を膨らませ、消費税を初めとする税金が個人には重くのしかかるはずだ。
この本は国債の「未建」という事態を中心に据えて、一般庶民とはかけ離れているかのように見える国の借金である国債を身近に説得力のある文章で書かれた経済小説である。

もう一度読み直して、次の選挙に与党民主党は日本をどう導いていくのか考えるには最適の参考書になりそうな小説である。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

skogBLOG内の記事検索

カテゴリー

過去の記事

書評・レビューの情報収集

ブログランキングで書評・レビュー関連の情報を収集できます!
ページ上部へ戻る