お家さん ‐ 玉岡かおる|(ドラマ)天海祐希,小栗旬|鈴木よねの人生

雨と晴天がいい塩梅にやってくる。
庭仕事に疲れた体に雨は慈雨となって休みをくれる。
池井戸潤著の経済小説を読んだ後、次の本を探すのは難しかった。

本棚にあった、猛昌君を間にはさみ少し頭を冷まして手ごたえのある本を探している時に出会ったのが玉岡かおる著「お家さん」
日本の大企業にお勤めの方ならその会社の創立期には何処かで鈴木商店とかかわっている事をご存じだろう。
砂糖の輸出から始り樟脳の輸出で名を世界に轟かせた。
華麗なる一族の中で度々登場した神戸製鋼も源流は鈴木商店である。
関連企業50社。社員総数5000人を超え売上高では三井、三菱を上回ったと言う。
しかし、鈴木商店の名前を知る人は少なくなっている。
それはこの商店がある日あっけなく姿を消してしまったからにほかならない。

この会社のトップは鈴木よね(引用:鈴木商店記念館)という女性である。
明治時代お店と言われるところは、店と奥はきちんと区別されていて、ヨネは奥を仕切っていた。
店で働く丁稚が気持よく働けるように着るもの、食べるものに気を使い陰になり日向になって奥を支え、従業員を育てた。
夫の岩次郎が亡くなった後、大番頭の金子直吉と鈴木商店を続けられたのはヨネの人徳によるところ。
この本はヨネの回想録のように彼女の語り口でつづられているので、手あぶりの火鉢の向こうにヨネさんが座り、その傍らで聞かせてもらっているような本である。
日清戦争後日本領土となった台湾を舞台とした展開、不況による米騒動のあおりで神戸の会社、自宅の焼打ち事件、それらをミスリードしたのは大阪朝日新聞だったとの定説もある。
教科書以上に面白い。
この本がNHKの大河ドラマなどになれば、日本が元気になるきっかけになるのではと考えるのはこの本を読めば分かってもらえると思う。

ドラマ版のDVDもあります(出演)天海祐希、小栗旬
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