運命の人 ‐ 山崎豊子|(ドラマ) 本木雅弘, 松たか子|記者と国家権力

瀬田の大橋

「運命の人」は1971年の沖縄返還協定で佐藤栄作総理とアメリカ大統領ニクソンの間で密約があったのではないかと毎日新聞西山記者がスクープしたことから始まった西山記者事件(引用:Wikipedia)を下書きにした小説である。
当時私は、東京から京都に転居したばかりで不慣れな生活の想い出と共に、この事件は強く印象に残っている。
当時の東京地検特捜検事だった佐藤道夫は西山が情報目当てに既婚の女性事務官にひそかに情を通じたと起訴状に記した。

それが元になり、世論は報道の自由を主張する毎日新聞を非難し不買運動に発展した。オイルショックの影響で広告も取れなくなった毎日新聞は1977年に一度倒産している。
そして1審で西山記者は無罪、事務官は有罪判決を受けた。

1972年4月14日の毎日の夕刊で「言論の自由というような抽象的な問題に立戻ってはいけない。佐藤首相の人間的反応にふりまわされてはいけない。問題は、あくまで佐藤内閣が私たちに何をしたかだ。知る権利などというのは自明のことだ。極秘資料のスッパ抜きに次ぐスッパ抜きを!  今こそ日本中を、スッパ抜きした極秘資料でもってあふれかえさせる事と、元気だった大島渚は言っている。-wikipedia

1974年、佐藤栄作はノーベル平和賞を受ける。
1978、西山記者に懲役4月執行猶予1年の判決が下りた。
2009年に佐藤栄作元総理の私邸から佐藤、ニクソンによる沖縄返還時の核密約にかかわる覚書が出てきた。
自民党政権下では代々に渡り否定されていた事である。
2009年鳩山内閣で外務大臣となった岡田克也は密約関連文章を公開するように命じ、2010年3月に全てについて密約及び密約に類するものの存在を認めた。
国家権力が人の運命も捻じ曲げていく事件が、昨今色々と報道されている。
この時期にお薦めしたい一冊である。

ドラマ版DVD-BOXです(出演)本木雅弘、 松たか子
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