かばん屋の相続、最終退行 ‐ 池井戸 潤| 変化 交代寄合伊那衆異聞 ‐ 佐伯 泰英

佐伯泰英のながーい小説を読んでいる。
古着屋総兵衛影始末」は11巻、「交代寄合伊那衆異聞」11巻目を現在読書中。
これは14巻まであるので、まだまだ先が長い。(※23巻シリーズとなりました)
今年の初めから佐伯の本にどっぷりと浸り、寝ても覚めても総兵衛さまや藤之助を追いかけていた。

そんな日々にの「下町ロケット」の直木賞受賞が決まった。
鉄の骨」や「空飛ぶタイヤ」でも受賞を逃しているので、それ以上読み応えがあると思うと楽しみが出来た。
しかし、急ぐ事はない。
私は文庫本になってからと書店に平積みされているブルーの表紙を横目で見ながら通り過ぎる。
京都の書店に行くと、池井戸作品が受賞作品の横に沢山並べられていた。
手に取ると、つい「かばん屋の相続」、「最終退行」の2冊買ってしまった。
佐伯泰英を一寸わきに置いて、池井戸を読み始めるとストーリーの展開の早さ、経済推理小説の面白さ、ひと晩は徹夜に近いくらいに引き込まれてしまった。

「かばん屋の相続」
かばん屋は言わずと知れた京都の老舗の一澤帆布を連想させる。
小説では長男、次男(京都は長男、三男)の相続争いで、亡くなった父親が「店は長男に継がせる」という遺言状が出てきたところまで酷似している。
小説の始まりと終わりは同じだが展開が流石に銀行出身を伺わせる書き方だ。

池井戸の本はどれも銀行をバックにした人間模様だけれど、銀行と言うか金融機関がこれほど人種のるつぼかと思うほど、登場人物が面白い。
私よりかなり若い池井戸に経済の仕組みをニュース解説よりも分かりやすく教えてもらっている感じがする。
しかし、そこは経済的推理小説というか経済的ミステリー小説の神髄はきっちりと描かれていて、ハラハラドキドキした後に喝采を送る。
佐伯の本には背の高い、腕に覚えのある侍が小説の主人公にいる。
池井戸になると、熱血漢で頭が切れる事が主人公の条件になる。
そして、二人ともに共通するのは主人公は正義感が強く、大物(大企業)相手に立ちまわれる人物である。
現実はほど遠いい。
ウソを積み上げて理想を夢見る。
小説とはそんな世界だ。

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