マグマ ‐ 真山 仁|ドラマ 尾野 真千子,谷原 章介
真山 仁著の「マグマ」は、投資ファンドによる企業再生の話ではあるけれど、
昨年以来見直されつつある地熱発電の仕組みについて手際良い解説がなされている。
近々ドラマ化されるらしいので是非本も読んで欲しい。
2006年に書かれたこの本は昨年の原発事故を予測したかのようにリアルに書かれている。
この本は世界的に有数の投資ファンドが、つぶれかけた地熱発電所の再建に乗り出すところから始まる。
読み進むうちに、日本が抱える原子力発電所の問題点が次々と浮かび、また地熱発電を取り巻く困難な問題点や地熱発電が持続可能なエネルギーである事を理解するのには大いに役に立つ。
原子力発電は石油や石炭では得られない爆発的なエネルギーを生み出し、原発1基の生み出すエネルギーで100万ワットの電力が生まれる。
人はそれを「神の火」と呼んで一気に原子力発電に走った。
その反対に地熱発電は多くの規制に縛られて大勢の人が諦めた。
安全でクリーンな地熱発電は政治の力学のあいだに埋もれて行ったのだ。
小説マグマは地熱発電にかけた火のように熱い科学者と投資ファンドから派遣された女性社長による情熱が実現させた地熱発電の物語である。
昨年の原発事故の時に毎日聞かされた「事象」と言う言葉。
これは原発は絶対に事故はないと言う事を前提に使われる言葉らしい。
枝野大臣は事象を連発したし、沢山の科学者も福島原発の本当の姿を発表する勇気を持たなかったか、国民を随分と欺いて来た。
それまでに美浜原発で起きていたと言う事故についても発生当時は全く触れられず、今また福井県の持つ原発の再稼働に京都、滋賀の知事が説明不足と指摘している。
原発の絶対安全宣言が崩れた今、地熱発電が息を吹き返しつつあると先日NHKのニュースで報道されたいた。
今年の夏の電力不足は深刻と報じられている。
原発の再稼働ばかりが急かされるけれど、本当にそうだろうかと立ち止まるのにはこの本を読んでみると良い。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。